私が最も勧める近視の方のライフスタイルは、普段は眼鏡を使用し、週末や、運動時は一日使い捨てのソフトコンタクトレンズを使用するという生活です。
一日中、毎日コンタクトレンズを使うのはけっこう眼に負担がきます。また角膜の内皮細胞というものがコンタクトをはめすぎると減っていってしまいます。通常内皮細胞は黒眼に1平方ミリメートルあたり3000個ぐらいあるのですが万が一500個をきると角膜が濁ってしまい、こうなると角膜移植をするしか手だてが無くなってしまいます。
従って一日中コンタクトを使うのではなく、眼鏡を併用する方法が良いと考えています。なおソフトコンタクトレンズでも一ヶ月使い捨て、二週間使い捨て、一日使い捨て、などいろいろなタイプがありますが、圧倒的に一日使い捨てがおすすめです。
それはなぜかと言いますと清潔だからです。
コンタクトレンズにはばい菌が繁殖する事があります。特に有名な恐いものが、アカントアメーバ感染です。これはコンタクトレンズに付着したアカントアメーバという細菌よりもおおきなばい菌が黒眼にへばりついて感染し、黒眼を白く濁らせててしまう病気です。ほおっておくと失明につながる怖い病気で、特効薬がありません。
私も病院勤務をしているとき開業医さんからの紹介で何人も治療しましたが、とても厄介です。一番有効なのが黒眼の表面を削ってばい菌ごと取り除く方法なので、週に2回ずつ黒眼(角膜)を削る治療をしました。(角膜の表面は削っても数日で再生します。 )削る治療は大変痛い治療で、削った後も数日痛むため、とても辛い治療です。だいたい1ヶ月ぐらいがんばって治療を続けると治癒します。
角膜の中心にばい菌がいた場合は視力が完全に戻らない場合もありますし、最初に来たときにもう手遅れという場合もありますので、診断と適切な治療がとても大切です。私が診察した患者さんでアカントアメーバが見つかった患者さんはすべて2週間使い捨てソフトコンタクトレンズでした。裏を返すと1日使い捨てコンタクトレンズを使っている人でこの病気になった人は1人もいませんでした。
アカントアメーバは水道の蛇口などといった日常我々が生活する水回りにうようよと潜んでいるのですが、おそらく石けんなどでの手洗いが不十分であったため、指先についたアメーバがコンタクトレンズに増殖してしまったのでしょう。
普段は眼鏡を使い、週末運動をする時などに1日使い捨てコンタクトレンズを使うというライフスタイルをおすすめいたします。
ではレーシックはどのような人に向いているのでしょうか。これに対しては平成21年に日本眼科学会でガイドライン(エキシマレーザー屈折矯正手術のガイドライン)が作成され、レーシックに適した人、適さない人が示されましたので抜粋して紹介したいと思います。
レーシックに適する人
眼鏡やコンタクトの装用が困難な場合。年齢は18歳以上とする。ただし未成年者は親権者の同意を必要とする。原則6Dの近視とする。医学的に必要が認められた場合は十分な説明のもとに10Dまでの範囲で実施する。(要するに相当強い近視の人にはしてはいけませんよという意図)
レーシックに適さない人
炎症のある人、円錐角膜 (角膜が薄い病気)、白内障、ぶどう膜炎、重度の糖尿病、重度のアトピー、妊娠中、授乳中の女性
またガイドラインでは以下の注意がなされています。
レーシックの長期的な予後は不確定な要素があるということ、正常な角膜に傷を付けるため、慎重に患者を選ぶこと、軽度の近視の方は、将来老眼になるためそのデメリットに対して十分説明すること。痛み、感染、ハロー、(ハローとは光がにじんで見える現象)グレア(グレアとは光がギラギラと見える現象)、ドライアイ、などの合併症があること。
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