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緑内障診療ガイドライン改訂

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緑内障診療ガイドライン改訂

  • 2022.03.08

    緑内障診療ガイドラインが2022.2月に改訂され、第5版となった。

    気になった箇所を列挙。とりわけ、前視野緑内障と高眼圧症については治療のタイミングを決めるのが難しいため、このガイドラインは参考になる。

    <緑内障の危険因子>

    高眼圧:ベースライン眼圧が高い

    経過中の平均眼圧が高い

    眼圧変動が大きい

    高齢

    家族歴
    陥凹乳頭径比(cup‒to‒disc ratio:C/D )が大き

    視神経リム面積が小さい

    乳頭出血

    乳頭周囲脈絡網膜萎縮(peripapillary choroidal atro- phy:PPA)β域が大きい

    角膜厚が薄い

    角膜ヒステレシスが低い

    眼灌流圧が低い

    拡張期収縮期血圧が低い

    2 型糖尿病

    落屑症候群

    薬物アドヒアランスが不良

    <PPG (前視野緑内障)について>

    1.PPG の進行

    正常眼圧の PPG を後ろ向きに検討した論文では構造 変化もしくは視野異常の出現で定義される進行を平均観 察期間 7 年で 60% 弱と報告している.また進行の定義 を視野異常の出現のみとした場合には視野異常の累積発症率を 5 年で21.5%10 年で40%15 年で 58.6%20 年で70.5%と報告している.その他対象に高眼圧の PPG も含む論文でも平均観察期間 5~6 年で構造変化 もしくは視野異常の出現を認めたのが 40~60% 程度と 報告されておりPPG であっても時間経過とともに進 行する眼が一定数あることが確認されている.

    2 .PPG 進行のリスク因子と治療の意義
    PPG の進行のリスク因子としては高年齢視神経乳頭出血の有無初診時の PSD 値不良初診時の OCT 所見などが既報により指摘されている.また眼圧下降率が高いほどPPG から視野異常のある緑内障への進行を抑制できたとの報告もありPPG であっても通 常の NTG と同様に眼圧を下降させることに意義がある可能性が示唆されている.

    結論

    正常眼圧の PPG に対して慎重な経過観察を行ったうえで危険因子を勘案しながら治療開始を随時検討する ことを提案する.

    <高眼圧症について>

    高眼圧症が原発開放隅角緑内障に移行する割合は 1年に 1~2%に過ぎない.

    米国で行われた多施設共同研究では眼圧が 24~ 32 mmHg の高眼圧症例を無作為に無治療群もしくは治 療群(点眼治療で眼圧 24 mmHg 以下を目標とする)に分 けて 5 年間にわたって観察した結果視野障害あるいは 視神経障害の発症が治療群で有意に少なかったことが示 されているが眼圧が 24 mmHg 未満の例にも当てはま るかなどは検討されていない.したがって,眼圧が正 常値上限をわずかに超えていることのみでは治療対象とすべきではない.

    危険因子を有する症例では治療を開始することが推奨.
    高眼圧症から POAG を発症する危険因子として高齢垂直陥凹乳頭径比(cup‒to‒disc ratio:C/D )が大きい高眼圧,pattern standard deviation(PSD)が大き い中心角膜厚(central corneal thickness:CCT)が薄 い視神経乳頭出血の出現があげられる.

    https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th.pdf

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