"ユートピアの崩壊 ナウル共和国 世界一裕福な島国が最貧国に転落するまで" リュックフォリエ著 新泉社 を読んだ。
ナウル共和国は太平洋に浮かぶ孤島。東京都品川区と同じぐらいの面積で人口12000人の世界で3番めに小さい国。
渡り鳥の糞が溜まって作られた島だ。
1907年にその土壌から純度の高いリン鉱石が大量にとれることを発見。
これに眼をつけたイギリス、ドイツは採掘工場をたくさん建設。
そのマネーでナウル人はいきなり世界一の金持ちになった。
政府が全世帯に家政婦を派遣、海外旅行へ行きまくり、レンジローバーを乗り回す島民。
食事は中華料理屋で買い食い。家事はしない。リン鉱石の重労働は出稼ぎ中国人頼み。
毎日国民は無駄に島を車でぐるぐる回ったり、何にもしない自堕落な生活を何十年も続けた。
政府は余ったマネーで全世界に不動産投資をし、次々とビルやホテルを買収、建設した。
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しかし、1990年代、大統領が予算を私物化。リン鉱石は枯渇。借金大国となった。
国営の飛行機は全て売却し、国外の資産もほとんどを売却。電気も水道も銀行までも停止した。
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国民は働くということを知らずに生きてきたため、極貧になっても家事も労働もできない。
人口の78.5%が肥満。糖尿病で平均寿命は40代まで低下した。
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食べるものもないのでやむなく国民は漁に出るようになり、身体を動かし、新鮮な魚を食べるようになった。
皮肉にも貧困により国民は健康になりつつあるという。
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はたしてこのナウル共和国の悲劇は、他人事だと笑って済ませて良いものだろうか?
サウジアラビアは世界肥満ランキングの3位。アラブ首長国連邦は4位。
これらの国はオイルマネーでこの世の春を謳歌しているが、実際のところナウルと同じ状況じゃないか?
これを一つの壮大な社会実験と捉え、我々自身の教訓とする必要がある。
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