昨日はHOYA Vivinex Impressの講演会を夜視聴した。
Vivinex Impressは保険適応の最新眼内レンズだ。
遠方に焦点を合わせたときある程度手元まで見ることができる、焦点深度拡張型眼内レンズである。
今日本で認可されている、テクニスアイハンス、レンティスコンフォートに続く、3番目のレンズとなる。
Impressと通常の単焦点眼内レンズとの比較が下のグラフだ。
横軸がdefocus。これは焦点の逆数だ。(例:0が無限遠、-0.5→1/0.5→2mのピント、-2.0→1/2→50cmのピント)
縦軸はlogMAR視力。馴染みがないと思うので、下記の換算表を参照すれば良い。
グラフを見ると、無限遠方の視力はほぼ同じで、全体的に近方視力が上昇していることがわかる。
次にMTF曲線をみてみる。
解像度に関しては無限遠から2.5m付近ではImpressが単焦点レンズより劣っている事がわかる。
ただし、2.5m~60cm付近ではImpressのほうが優れているようだ。
さて、HOYAはこの光学特性の原理を公開していない。
HOYAの海外ホームページで確認すると、"眼内レンズの中央2mmの滑らかな光学表面が度数の変化を生み出す"
と全く説明になっていない文章が記載されている。
要するにレンズの構造は秘密ですという意味だ。
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このレンズの特徴をまとめると、、、
・原理は秘密
・遠方の最高視力を少し犠牲にして、手元を少し見やすくする眼内レンズ だ。
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私は昔から言っているが、単焦点眼内レンズこそが理想的なレンズである。
ピントの位置での最高視力が大切なのだ。他の距離が見たかったらメガネを作ればいいだけだ。
(3焦点に至っては最悪だと思う。どこでも見えるということは、どこもそこそこしか見えないということなのだ。それを自費で入れるのは私が主治医だったら良心が痛む。)
しかしながら、どうしてもメガネをかけたくない人が一定の人数いることは理解する。
そういう人がこういったレンズ特性を十分理解したうえで使用するのはありなのかもしれない。
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このMTF曲線を見て思い出した。
15年ぐらい前、市場の眼内レンズは球面レンズから非球面レンズへの過渡期だった。
球面レンズは球面収差があるため、逆にdefocusに強く、最高視力は劣るもののある程度の幅をもって視力を出すことができた。
今や非球面レンズが市場のほぼ全てを占めている。それなのに、再びピントを広げるレンズの開発が進んでいることにすごく違和感を覚える。
ピントの幅を広げたかったら球面レンズに戻せばいいんじゃないか、、。
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