2024年の日本白内障屈折矯正手術学会による会員1683人の調査結果がまとめられた。
気になった内容を列挙し、私の意見を述べる。
・白内障両眼同時手術をしない・・56.3%
・特殊症例のみ・・26.11%
白内障両眼同時手術はハイリスクである。
1.感染症が起きた場合、両眼同時に起きる可能性
2.眼内レンズの狙いが大幅にずれた場合、両眼のバランスが悪くなる可能性
3.両眼散瞳するため、転倒の危険性 などが考えられる。
極力同時白内障手術は避けるべきである。
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・術中ポビドンヨード塗布・・25.2%
・術中PAヨード塗布45.7%
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・抗菌剤点眼3日前・・81.95%
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・術後抗菌剤点眼1週間・・18.3%
・2週間 ・・39.94%
・1ヶ月・・33.73%
術後抗生剤点眼は2週間、つまり点眼薬1本さしきりが主流になりつつあるようだ。
当院は1ヶ月で指示しているため、短くしてもいいのかもしれない。
術中ヨード塗布も一般化されつつあるようだ。
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・切開創2.3~2.4mm・・64%
・2.5-3mm・・21.9%
・2.1-2.2mm・・11.57%
・1.9-2mm・・0.3%
私は切開創は2.4mmで行ったみたが、結局2.75mmに戻した。
切開創が小さいほど惹起乱視は減るが、水晶体核破砕効率が落ち、手術に時間がかかること、眼内レンズ挿入時に創口に負担がかかること、超音波の熱が傷口に伝わり創口熱傷が起きやすいことがデメリットだ。
2.75mmで私は満足している。
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・トーリックIOLの適応角膜乱視1.5D以上・・35.1%
・1.0D以上23.3%
トーリックIOL適応が1.5D以上が最も多いのは驚きだ。私は2.0D以上の倒乱視を適応としている。
トーリックIOLのメリットは大きいが、軸回転やマーキングずれによる矯正エラーのリスクも懸念され、沢山の人に適応することには疑問だ。
そもそもトーリックレンズと通常のレンズで手間がぜんぜん違うのに手術の金額が同じというのはどう考えてもおかしい。
厚生労働省、そして学会や学識者はなぜ改善しようとしないのだろうか。
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・IOL計算式で用いるのは、、Barrett Universal2式・・56.7%
・SRK/T式・・46.6%
・Kane式・・7.4%
Kane式が最も計算精度が高いことはシステマティックレビューで明らかになっている。
当院では主にKane式を使っているが、まだまだ普及していないのは驚きだ。
また非常に古いSRK/T式が半数の施設で使われているのには驚いた。なぜこんな式をまだ使っているのだろうか。
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注意点・・
この調査は母集団がJSCRSという、レーシックや自費の多焦点眼内レンズを好む先生が多く所属する学会員のアンケート結果で、日本全体の白内障手術の現状を反映していないことに留意。
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