日本眼科学会における大鹿哲郎先生のweb 講演で、選定療養下の多焦点眼内レンズ挿入術の費用算定方法が示されておりました。それによりますと
患者さん負担額=多焦点眼内レンズ納入価格-単焦点眼内レンズ納入価格+角膜形状解析検査✕2+コントラスト感度検査✕2+水晶体再建術の自己負担分 とのことでした。
1例を挙げます。多焦点眼内レンズの納入価格を仮に120000円、単焦点眼内レンズの納入価格を仮に20000円とします。
患者さんの追加負担額=120000-20000+1050✕2+2070✕2=106240円となります。
問題点
1.多焦点眼内レンズを入れるにあたって、レンズの選定、患者さんへのメリット・デメリットの説明等の時間、マンパワーのコストが全く評価されていない点
2.レンズの納入価格という本来明らかにしない情報を厚生省に把握され、今後通常の白内障手術の評価が下げられる可能性がある点
3.そもそも選定療養制度自体が、国民皆保険の平等性に反していること。
4.混合医療を禁止している国の施策に反していること。
以上問題の多い、選定療養制度だと感じました。私自身、多焦点眼内レンズは焦点深度拡張型の多焦点眼内レンズ(シンフォニー)または低加入度数分節眼内レンズ(レンティスコンフォート)は見え方の質が単焦点レンズと比しほとんど落ちないため許容できますが、それ以外の多焦点眼内レンズはコントラストが落ちるというデメリットがある以上挿入すること自体消極的です。
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