カスケードとはもともと滝を意味する言葉だが、小さな事象が引き金となって次々と連鎖して新たな事象が生じていく事柄を指す。
まるで樹形図のように原因から結果へと流れていく、手術はまさにカスケードである。
<白内障手術における合併症カスケードの例>
偽落屑症候群
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散瞳不良→瞳孔切開→前房出血→眼圧上昇
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術中ヒーロンVを使用→眼圧上昇
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ハンドピースの灌流低下
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メインポートのサーマルバーン
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10−0ナイロンで縫合
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角膜乱視による視力低下
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縫合糸の抜糸
難症例に対しては対応する効果的な器具や手法を用いるわけだが、
(例えば前例のようにヒーロンV、瞳孔切開、虹彩リトラクターなど)それを使うことによって新たな合併症の引き金になりうる。
したがって手術で大切なことは、
1. カスケードの初期で有害事象を排除する。
2. 1つの治療に対していろいろな手技をマスターする。
3. 新たな器具・手法のメリットとデメリットを比較し、その結果のカスケードの先まで予測する。
以上が手術の要諦だ。
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