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保険診療のしばり

院長ブログ

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保険診療のしばり

  • 2023.09.14

    白内障手術では、粘弾性物質というヒアルロン酸を眼の前房に充填してから手術を行う。

    充填しないとメスで切ったらすぐに眼がへしゃけてしまうからだ。

    このヒアルロン酸の使用量は保険診療で決められている。

    岐阜だと1.4mlまで。

    県によって何故か基準は違う。

    前房の体積は0.25mlが平均。

    CCCの前に0.25ml使用。

    PEAのときに0.25ml使用。

    眼内レンズ挿入時に0.25ml使用。

    インジェクターに0.25ml使用で合計1mlあればいいという計算だろうか。

    ただあくまでこれは平均的な眼球の場合。

    強度近視眼だと前房の体積はおそらく0.4ml程度ある印象。

    硬い核の場合はPEA中何度も粘弾性物質を入れるべき。そうしないと角膜内皮を守れない。

    ソフトシェルテクニックを用いるときはほんの少ししか使わないビスコート0.5mlを出さなければならない。

    ビスコートは眼内レンズ挿入時は使えない(というか最後に粘弾性物質を洗うとき非常に時間が掛かるから使いたくない)ので眼内レンズ挿入時は凝集性のヒアルロン酸が別で必要になる。

    だから丁寧な手術をしようとすると1.4mlの使用量を超えることは普通にある。

    粘弾性物質を総量で規制する保険診療には疑問を感じる。

    非常に核の固い症例を手術したら粘弾性物質をたくさん使うことになり、

    損するから総合病院へ紹介しようって医療が萎縮する恐れがある。

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    硬い核の患者は手術点数を高く設定したり、角膜内皮細胞が少ない人はビスコートを総量規制からはずすとか、

    強度近視眼の人は1.5ml以上の使用を認めるとかもっと柔軟に対応できないのか。

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    白内障手術ほどコストに対するQOLの上昇が高いものはないと自負している。

    だとすれば限りある医療費にもっと白内障手術の点数を割り振るべきだ。

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