「スラッジ」・・・厚く堆積した柔らかく湿った泥のこと。
このスラッジは行動経済学で使われる、専門用語だ。
ある行動をしてほしくない場合、障害を増やしてやりにくくすればいい。まるで泥沼を泳がせるように。
例1:自国に移民が来てほしくなければ、大量の書類を提出させるようにする。
例2:一眼レフカメラのキャッシュバックキャンペーンは、外箱の硬い段ボールのバーコードを切って貼り、住所、自分の口座番号を書いて封筒を作成してポストまで投函しに行く必要がある。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
キヤノンのレーザープリンター、LBP621Cがクリニックに2台ある。
毎分18枚のカラープリントが可能。
普通紙に印刷でき、とても画質がきれい。
音も静かでコンパクト。
そして本体が、レーザープリンターなのに23800円と超安い。
完璧じゃないか。
当院で愛用していた。が、問題があった。
インク代が高すぎることだ。
インク代が、なんと本体よりも高い、24470円。そんな馬鹿な。
〜〜〜〜〜〜〜〜
4ヶ月ぐらいでインクがなくなる。
ってことはこのプリンターを使用し続けると年間75000円かかるのだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜
このように覆い隠された要素(この場合は本当の年間コスト)を突き止めるため、消費者は厚く堆積した泥の中を必死でかき分けて進まなければいけない。この例も悪意のあるスラッジだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜
スラッジは実はどこにでもある。
やりにくい、煩雑に感じる仕組みはすべてスラッジだ。
スラッジを見つけたら一つづつ潰していかなければならない。
国も、企業も、個人もスラッジを認知し、問題意識を持ち続けること。
意図的に(または意図せず)スラッジを作らないこと。
常に考えることで世の中はもっと住みやすく、居心地よくなるはずだ。
参考文献 NUDGE 実践行動経済学 完全版 日経BP
「スラッジ」大変共感を覚えます。
地元の勝川地域5万人の代表として地域の活性化、町内会、自治会の催事用の市役所、市社協、警察、消防署への予算申請、防犯カメラ設置補助等は先生の文章からすれば結構「スラッジ」に思われます。(申請後の実施報告書も)
又、逆に町内会、自治会からの脱退を防ぐために労務負担の軽減化をはかる「逆スラッジ」も有効と考えます。
つまり「スラッジ」は「負担を負担(負託)させる」と言う事なら+−両極端の作用を上手く使いこなせれば有益と思えました。
大変勉強になりました。ありがとうございます。
春日井市区長町内会長連合会副会長
(勝川地域代表)
下条原区長
下条原地区社会福祉協議会長
加藤圭三