"世界秩序の変化に対応するための原則~なぜ国家は興亡するのか" レイ・ダリオ著 日本経済新聞出版を読んだ。
この本は世界一のヘッジファンド運用会社を創立したレイ・ダリオが書いた本だ。
554ページの大作。
過去500年の主要国の興亡を分析し、その法則を探ったものだ。
まずすごいのはグラフ、図表がものすごく多い。
そして分析の観点が面白い。
彼によると、国力の決定要因は8つ。
「教育」「イノベーションとテクノロジー」「競争力」「軍事力」「貿易」「経済生産高」「金融センター」「準備通貨の地位」
これらをグラフ化すれば国の盛衰のステージがわかる。
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大国の資産収益についての記述も興味深かった。
過去120年の歴史において、主要国(アメリカを除く)は株式60%,債権40%のポートフォリオで最悪のリターンを経験している。
ロシアは1900~1920年で-100%
中国は1930~1950年で-100%
ドイツは1903~1923年で-100%
日本は1928~1948年で-96%
オーストリアは1903~1923年で-95%
フランスは1930~1950年で-93%
イタリアは1928~1948年で-87%
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たった100年ぐらい前の世界で、大半の主要国の株式、債権価値がほぼ0になっていたのだ。
また資産没収も過去120年で数回実施されていた。
(アメリカ2回、中国2回、ドイツ1回、ロシア3回、イタリア1回、日本1回)
ではその最悪期にどう行動したら良かったか。
レイ・ダリオは資産を金(きん)に換えれば価値は0にならず数年間だけで2~4倍になっていたと説明する。
例えば太平洋戦争さなか、日本国民が新聞などに踊らされて戦時国債を買って一文無しになることはなかっただろう。
(唯一の選択肢である金現物を買えば正解だった。)
また最強の国アメリカも現在凋落サイクルにすでに入っているという。
この本は過去の歴史を分析して未来を予想する、とてつもなく中身の濃い作品だ。
今後はどのような未来が待っているか、、、
最後にアメリカの小説家の言葉。
「歴史は繰り返さないが韻を踏む」 〜Mark Twain
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