彫刻家の船越桂が3月亡くなった。
彼は一本の丸太から人物の顔を彫る。
彼の作風は彫刻を作成後に頭部を真上から横向きに切断して、能面のようにくり抜き、内側から大理石の眼球をはめ込む。
そして眼球の表面に何層も透明の絵の具で塗り重ねて角膜を作ることで深く澄んだ眼にする。
彼のテレビインタビューで興味深かったこと、、
それは眼球をはめこむとき、わざと外斜視にするのだという。
そうすることで無限遠方をぼーっと見ている彫刻になる。
遠方を見ているようで、実はその像自身が自分を内省していることを表しているのだという。
たしかに斜視の中で最も頻度が多いのが間欠性外斜視。
これは物体を見ているときは正位で、ぼーっと頭で考えているときにだけ外斜視になる疾患。
だから彫刻を外斜視にさせるというのは作者の意図にかなっている。
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一見無表情のようで、しばらく眺めると内から感情が滲み出る、彫刻表現。
そして吸い込まれるような瞳。
彫刻がここまで魅力的だとは、、。
代表作は永遠の仔という本の表紙になっている
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