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抗VEGF薬のまとめ(適応、問題点、今後の展望)

院長ブログ

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抗VEGF薬のまとめ(適応、問題点、今後の展望)

  • 2024.05.16

    2024年5月現在の抗VEGF薬の適応をまとめる。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    ルセンティス  AMD,RVO,myopic CNV,DME ROP


    ラニビズマブ  AMD,RVO,myopic CNV,DME


    アイリーア2mg AMD,RVO,myopic CNV,DME,NV gla,ROP


    バビースモ   AMD,DME,RVO


    ベオビュ    AMD,DME


    アイリーア8mg AMD,DME


    (AMD:加齢黄斑変性 RVO:静脈閉塞症 myopic CNV:近視性新生血管 DME:糖尿病黄斑浮腫 NVgla:血管新生緑内障 ROP:未熟児網膜症)

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    効果の強さは概ね以下の通り。

    ルセンティス=ラニビズマブ<アイリーア2mg<バビースモ<ベオビュ≦アイリーア8mg

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    現在市場を独占しているのがアイリーア2mg。

    ベオビュは眼内炎(0.5%)、眼内炎症(2.8%)と副作用の頻度が高すぎるため、眼科医の中では積極的に使用されない。

    新薬のアイリーア8mgとバビースモが今後シェアを伸ばしていくと想像される。

    抗VEGF薬は効果が速く、強く現れるのが特徴で、1週間以内に黄斑浮腫が軽減し、新生血管が消失する。

    しかし問題なのは持続期間が3ヶ月程度と短いことである。

    例えが悪いが、まるで薬物中毒のように3ヶ月に1回硝子体注射を行う患者で、市中病院は溢れかえっている。

    大学病院では20人以上一度に注射していると聞く。

    私の眼から異様だし、倫理的にも社会経済的にも大問題だと感じる。

    薬剤費が非常に高額で(アイリーア8mgは0.07mlで18万円だ)患者負担が大きい。

    仕入額が高すぎて、医療機関の薬価差益はほぼ無いということも問題。

    クリニックで眼内炎のリスクを負って差益の殆ど無い硝子体注射を手術室で打っていては経営が成り立たない。

    また抗VEGF薬はすべて外資が製造しており、(アイリーアはバイエル(独)、バビースモはロシュ(スイス))

    大半の利益は製造元が手にしていると思われる。

    アイリーアの2023年の国内売上は874億円。これだけの国富が外国へ失われているという事実も忘れてはならない。

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    今後長期にわたり効果が持続する抗VEGF薬が国内で製造され、安価に提供されることが望まれる。

    政府、製薬会社、医療従事者が一丸となってあるべき姿を真剣に考えなければならないと感じている。

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