VFI(Visual Field Index)とMD(Mean Deviation)は、どちらもハンフリー視野計で視野障害を評価する指標であるが、用途や評価方法に違いがある。
1. 評価方法と重み付けの違い
- VFIは、各視野点の重要度に基づいて重み付けを行うため、中心視野の損傷をより重要視する。これにより、視野全体が均等に評価されるのではなく、実生活での視機能に影響を与えやすい部分を重点的に評価することが可能である。
- 一方、MDは視野の各点の平均偏差を測定し、視野全体の平均的な損傷度合いを示す指標であり、全ての視野点を等しく扱う。
2. スケールと範囲の違い
- VFIは0%(視野全喪失)から100%(正常視野)で表され、視野がどれほど残されているかを視覚的に把握しやすい指標である。進行度合いを示す指標としても使いやすい。
- 一方、MDはデシベル(dB)単位で表され、正常視野からの偏差をマイナス値で示す。数値が低くなるほど視野損失が大きくなる。-6dBまでを初期、-6~-12dBを中期、-12dB以下を末期と定義する。
3. 進行の追跡における違い
- VFIは、経時的な変化を追跡しやすい指標であり、視野欠損の進行速度を分析するのに適している。特に緑内障の進行管理に効果的である。
- 一方、MDも経時的な変化を追うことが可能であるが、視野損傷がある程度進行した場合や全体的な視野損失が進んでいる場合には、進行を把握するのがやや難しくなることがある。
4. 実用性と視機能における違い
- VFIは、日常生活への影響を考慮して設計されているため、実生活における視機能を反映する指標である。
- 一方、MDは視野全体の平均的な損傷度を示す指標であり、網膜全体の健康状態の把握には有用であるが、実生活にどの程度影響があるかまでは反映しにくい傾向がある。
まとめると、VFIは視野損傷の進行を視覚的に追跡しやすく、中心視野の損傷を重視した指標であり、MDは視野全体の平均的な損傷度を示す指標である。
両者を組み合わせることで、視野損傷の包括的な評価が可能である。
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