dysphotopsia とは、特に合併症のない白内障手術後に生じる、望まない影や光が見える現象を指します。
positive dysphotopsia (PD)は光の人工物で、arcs(弧状の痕跡)、streaks(光の筋)、starbursts(光源の周囲に広がる放射模様)、rings 、halos(光源周囲にぼんやり広がる光の輪)として表現されます。
negative dysphotopsia(ND)は網膜の一部分に影が生じる現象で、耳側の弧状陰影が特徴です。
これらの現象は完全に解明されていませんが、以下の原因が推定されています。
PDは、眼内レンズの素材、デザイン、場所が関与していると考えられています。
NDは、光の分布の差異が原因と考えられています
鑑別診断として、以下の疾患が挙げられます。
・網膜剥離
・後嚢混濁
・後嚢線条
・後部硝子体剥離
治療法は、まず経過観察です。
通常数週間で自然軽快することが多いです。
ピロカルピンやブリモニジンによる縮瞳効果はとりわけ夜間におけるPDの軽減に効果的です。
(ただしNDにはほとんど効果がない)
NDに対しては分厚いフレームの眼鏡装用がNDを脳がフレームの影として認識するため効果的です。
視力補正やドライアイ治療、後発白内障の治療も念頭にいれるべきです。
特定の症例に限っては手術が検討されます。
低屈折率の素材、PMMA、シリコン製眼内レンズへの変更は概ね成功すると報告されています。
add-on piggyback lensや毛様溝固定はNDを改善します。
眼内レンズ支持部の水平固定もNDを改善すると考えられています。
持続するND症状は手術症例の3%に生じると言われています。
一方で49%以上の症例でPD症状を経験し、76~88%はレンズ材質の交換にてPD症状は改善します。
(American Academy of Ophthalmology のEye Wikiより抜粋し、日本語に訳してまとめました。)
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