2026年2月にデュシャンヌ型筋ジストロフィーの治療薬が発売された。
驚くのはその値段。
国内最高額で、点滴1本が3億497万円だ。
アメリカ国内の価格を調べてみた。
アメリカでは表示価格320万ドル(WAC)、純価格は法定割引込みで約2割安の約4.1億円。
開発国のほうが高い設定なのも不思議。
これまで国内で10人の患者に投与されたそうだ。
懸念点は以下の3点。
・EMBARK試験パート1の52週時点の結果、主要評価項目である運動機能を評価するノース・スター歩行能力評価(NSAA)はプラセボ群に比べ統計学的な有意差が無かった点。
・急性肝不全による死亡例が海外で2例報告されている点。
・薬価が異常に高価な点。
以下この薬に対する効用をざっと計算した考察。
純粋な効用=費用対効果の計算から。
日本の費用対効果評価(C2H)の閾値はおおむね1QALYあたり500万円、重篤・小児などの配慮区分でも750万〜1,000万円が上限。ここに薬価3億497万円を当てはめると、
- 500万円/QALYで正当化するには 約61 QALY の純増が必要
- 1,000万円/QALYでも 約30 QALY の純増が必要
DMDの自然歴での生命予後はおおむね20代後半〜30代。仮にこの薬が「完治」させて健康な数十年を取り戻したとしても、標準治療(ステロイド等で既にある程度延命している)に対する増分で60QALYには届かない。
まして実際に示されたのは第3相で主要評価項目を外した、持続性も不明なNSAAのわずかな差だ。
現実的な増分QALYは良くて数QALY、悲観的にみれば1未満。
つまりICERは控えめに見ても数千万円/QALY。
閾値より一桁から二桁高い。純粋な効用最大化(同じ予算で社会全体のQALYを最大化する)という基準では、この薬価は明確に不合格。
この3億円を他の医療に振り向ければ、はるかに多くの総QALYが得られる。


















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